福音聖書神学校「礼拝と音楽」

礼拝と音楽の授業計画

「礼拝と音楽」を授業に合わせて書き直しています。現在No.4まで書き直しました。

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.20

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで)10、福音唱歌(アメリカ) 教会音楽は宗教改革後、かなりの成長を遂げた。ところが皮肉なことに、宗教改革において、賛美は「人々」によって取り戻されたはずであったのに、再び大衆が教会の高度な音…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.19

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで)8、19世紀前半(アメリカ) アメリカの開拓初期時代はイギリス国教会の「詩篇歌」が歌われていた。そして彼らの音楽レベルは、現在のアメリカの音楽レベルからすると、想像できないような低レベルであ…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.18

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで)7、ビクトリア朝(イギリス) 英国国教会内では、「礼拝する教会(共同体)」としての賛美歌を作ったオックスフォード運動の流れを受けた高教会派、またそれに対して礼拝儀式をそれほど重んじず、非国…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.17

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで) 6、オックスフォード運動(イギリス) 英国国教会内に様々な要素があったことが、このオックスフォード運動によって明瞭になる。英国国教会の枠組みから出たグループが非国教会系であり、彼らは教派…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.16

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで)5、19世紀(イギリス) 18世紀の非国教会系の人達のペンから賛美歌が泉のようにあふれ出したのであるが、19世紀には、今度は英国国教会の作者達に中心が移り、それまでは教訓的、実用的な面が強かった…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.15

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで)4、18世紀(イギリス) 18世紀のイギリスの賛美は、アイザック・ウォッツとチャールズ・ウェスレーを比較することで見えてくる面がある。二人は全く正反対の神学的立場を擁護する賛美歌作者と言えよう…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.14

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで) プロテスタントの讃美歌の歴史は、ドイツからイギリスに、イギリスからアメリカに移っていく歴史である。現在の日本の福音派諸教会における賛美歌のほとんどは、新しい音楽も古い音楽も、ドイツもの…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.13

第六章 讃美歌の歴史(ルター後の時代から福音唱歌まで) ここでは、宗教改革より出発した「賛美歌の歴史」を辿ってみたいと思う。ルター以降の「賛美歌の歴史」とは、ルターの礼拝改革により会衆賛美、自国語賛美が導入された結果、出て来た賛美歌のことで…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.12

第五章 宗教改革と音楽2、カルヴァンと教会音楽 教会音楽史におけるカルバンの貢献は、詩篇の導入ということであった。カトリック中世において、「詩と賛美と霊の歌」の分類でいくと、「賛美」が進展したと思われるが、ちょうど、補囚の民が異国のシナゴグで…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.11

第五章 宗教改革と音楽1、ルターと教会音楽 教会音楽史上、マルティン・ルターの大きな貢献は次の二つに尽きる。それは会衆賛美の導入と自国歌賛美の導入であった。と言うものの、すでに民衆レベルではいつでもこの二つを開始できる気運は高まっていたのであ…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.10

第四章 中世カトリックの音楽2、聞く賛美 「人々」と教会音楽が切り離されたことによって、「人々」は、教会においては「歌う」賛美でなく、「聞く」賛美を捧げることとなった。歌うことのできる部分は、わずかにアーメン、ハレルヤ唱で声を合わせることのみ…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.9

第四章 中世カトリックの音楽 新約聖書の時代の後の初代教父の時代は、ローマ帝国からの迫害のまっただ中であった。迫害を覚悟しつつ、あるときは小声で賛美せざるを得ない状況もあった。しかし、キリスト教の公認時代に入ると状況はがらりと変わる。自由に…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.8

第三章 新約聖書の音楽4、三つの歌集C、霊の歌 それで、一番、理解の困難な歌集は、「霊の歌」である。先ほどの由木康氏は、「霊の歌」は「即興的に歌われた自由な歌」であるとするが、カリスマ運動の方々の一部の人たちは「霊の歌」を彼らの体験から出てき…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.7

第三章 新約聖書の音楽4、三つの歌集 新約聖書中で賛美について、もっとも興味深い内容は、ピリピ3章16節とエペソ5章19節に登場する三つの歌集であろう。「詩と賛美と霊の歌」というこの三つの印刷されていない見えぬ歌集は、クリスチャン達の意識のなかで自…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.6

第三章 新約聖書の音楽 前章では、旧約聖書の音楽の多様性について言及したが、「新約聖書の音楽」においても同様である。新約聖書の音楽は、キリスト教の宣教の拡大とともに、ユダヤ教の枠組みを超えていく意味で、旧約聖書の音楽以上に多様的である。ただ…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.4 (一般芸術と教会音楽の接点を理解する)

さて教会音楽を学ぶにあたって、まずは「芸術」という用語に触れないわけにはいかない。一般音楽は「芸術」の世界のなかに教会音楽を包括しようとするからである。であるから教会においても、信仰抜きの「芸術」としての教会音楽が、堂々と土足で入って来る…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.3

「教会音楽」や「礼拝学」は神学の分野では、「実践神学」に属する。「実践神学」とは「組織神学」と「聖書神学」と「歴史神学」の裏付けがあって初めて息を吹き出す神学である。しかし他の神学に従属する位置にある「教会音楽」「礼拝学」ではあっても、最…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.2

はじめに 1980〜90年代、福音派系教会の牧師たちのなかでよく先輩たちから聞かされてきたことは、教会では音楽で問題が起こるから気をつけるように、というアドバイスであった。しかし2010年代になった今、私のなかでは音楽で問題が起こる理由は、教会の「礼…

福音聖書神学校「礼拝と音楽」No.1

私と教会音楽(戦後福音派の教会音楽を概観しつつ) 私と教会音楽との出会いは、日本MBの最初の牧師の子として育ったなかでのMB宣教師たちから受けた「福音唱歌」との出会いから始まる。多く福音派の牧師先生方はこの「福音唱歌」を位置付けできていないよう…